他の相続人に預金を使い込まれた場合どうなる(Part2)
今回は、被相続人が亡くなった後に預金を使い込まれたケースを説明します。
※前回(被相続人が生存中、預金を使い込まれたケース)はこちらです。
被相続人が亡くなった後に預金を使い込まれたケース
被相続人が死亡し、金融機関がその死亡の事実を把握すると、通常、金融機関により被相続人名義の口座が凍結されます。
しかし、金融機関が被相続人の死亡の事実を把握する前に、一部の相続人がキャッシュカード等で被相続人名義の預金を引き出してしまうことがあります。
AさんのD銀行に対する預金債権は、Aさんの死亡後、B太郎さんとC子さんの準共有状態となると考えられています(B太郎さんとC子さんが共同で所有していると観念します)。
したがって、Aさんが亡くなった後に、相続人の一人(B太郎さん)が他の相続人(C子さん)に無断でAさん名義の預金を引き出した場合、他の相続人(C子さん)は、預金を引き出した相続人(B太郎さん)に対し、
① 不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)
② 不当利得返還請求権(民法703条)を根拠に、相続分に応じて預金の返還を求めることができます。
実務上、遺産分割の対象となる財産は、「相続開始時に存在し」かつ「遺産分割時にも存在する」未分割の遺産とされているため、これまで、被相続人(Aさん)死亡後に引き出された預金については遺産分割の対象とならず、相続人全員の合意がない限り、遺産分割調停で解決することはできないとして、別途民事訴訟を提起するほかありませんでした。
しかし、近年の民法改正により、引き出し行為を行った相続人以外の相続人全員の同意があれば、その引き出された預金額を遺産分割の対象に含めることができるようになり(民法906条の2)、遺産分割調停・審判の中で解決を図ることができるようになりました。
弁護士ができるサポート
預金の引き出しや使い込み行為について責任追及するには、膨大な量の証拠収集が必要です。
具体的には、預金の取引履歴の取り寄せとその分析、出金時に作成した払い戻し請求書の写しの収集とその筆跡の分析、カルテや介護記録といった預金引き出し当時における被相続人の意思能力に関する情報の取り寄せ及びその検討といった作業が必要となります。
また、強制執行を見据えて、相手方の財産を保全するための仮差押え手続を行うなど、どのタイミングでどのような手続を選択すべきかといった専門的な知見も必須となります。
江原総合法律事務所では預金の使い込み問題について豊富な実績を有しており、上記のような証拠収集・手続の選択、相手方との交渉、調停・訴訟等の手続を、お客様に代わって行います。同様の問題でお悩みの方は、是非一度、江原総合法律事務所までご相談ください。
弁護士費用(税込)
使い込みの返還請求
着手金 | 請求金額の 8.8% |
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報酬金 | 回収金額の 17.6% |
※ 最低着手金・報酬金はそれぞれ22万円(交渉の場合は16万5000円)です。
※ 返還請求と同時に遺産分割をご依頼される場合は、別途見積もりいたします。