遺留分侵害額請求を受けたら
相続人が遺留分を侵害されたとして、遺留分に相当する額の金銭を請求する権利を遺留分侵害額請求権と言います。
もし、あなたが被相続人の財産を相続したとして、相続人から遺留分を請求されたらどうすれば良いのでしょう。
原則として、遺贈を受けた者は、あなた以外の相続人に法律上与えられた最低保証である遺留分を請求された場合、その分を渡さなければなりません。たとえその相続人が、被相続人が存命時に、全く関与していなかったとしても、遺留分は相続人に認められた正当な権利ですので、請求されたら拒めません。
遺留分侵害額請求がなければ、あなたがそのまま全部をもらって問題はありません。
あなたが相続人で、被相続人と相談して遺言を作成する場合、遺留分を侵害する内容の遺言は、遺留分侵害額請求を受ける可能性があることをしっかりと覚えておきましょう。できれば他の相続人の遺留分を侵害する遺言は避け、どうしても遺留分を侵害する内容の遺言をする場合は、遺留分を巡る紛争への対策を考えておく必要があります。
遺留分を請求された場合の対応は、専門家である弁護士に相談するのが良いと思います。
遺留分侵害額請求をされないために
遺留分とは、遺産の内、相続人のために法律上必ず遺留しておかなければならない部分のことです。
相続人から遺留分侵害額の請求されないためには、どのようにすれば良いのでしょう。
その遺留分を請求されないためには、2つの方法が考えられます。
遺言書に、最初から遺留分を織り込んだ相続分の指定をする
具体的には、「私の遺産については、妻に1/2を、子どもに3/8を、前妻との子には1/8を相続させる」などのように遺言をすることです。こうすることで、遺留分侵害額請求はされないで済みます。結果的に、相続財産の一部を渡すことにはなりますが、こうした遺言を残すことが、争いを生じさせない方法と言えるでしょう。
遺言書に「遺留分の主張などはしないでほしい」と遺言の中に書く
このように書くことで、「それが被相続人本人の強い意志であれば、仕方ない」と思われる等、精神的に効果を与えることができるケースがあります。
しかし、この方法の欠点は、遺言書に「遺留分の主張などはしないでほしい」と書いたとしても、それは何ら法的効力を有するものではないということです。
したがって、遺言書にこう書いてあったとしても、相続人はその遺言に拘束されず、遺留分侵害額請求ができるのです。
どちらの方法をとるにしても、遺言書を作成する際に、遺留分のことを加味して作成する必要があります。