Q&A 相続の発生
質問
相続開始後に相続人として被相続人の財産を承継することができる地位ないし資格を有する者は、相続開始前にも、被相続人の財産に関して何らかの権利があるのでしょうか。
回答
相続開始後に相続人として被相続人の財産を承継することができる地位ないし資格を有する者は、推定相続人と呼ばれます。
推定相続人の権利は、いわゆる「期待権」とされており、相続人としての欠格事由がなければ、廃除の手続きによらなければ相続人の地位をはく奪されないという意味で、法律上の保護を受けていると言えます。
しかし、推定相続人の「期待権」は脆弱な権利であり、相続開始前には、被相続人の具体的な財産に対する権利はありません。
例えば、判例では、被相続人のなした財産処分の無効確認を請求し、あるいは被相続人の権利を代位行使することは許されないものとされています。
そのため、被相続人死亡前は、被相続人の財産の使途に対して、推定相続人は原則として異議を述べることはできません。
従って、たとえば被相続人の意思能力に疑義がある状況で、一部の推定相続人が被相続人の財産を費消しようとしている場合、成年後見の申し立て等を行う必要があります。