Q&A 被代襲者が被相続人から受けた特別受益は、代襲相続人の特別受益として持ち戻しの対象になるか
質問
私の父方の祖父が亡くなりました。私の父は、祖父が亡くなる前に死亡しています。
祖父には、父の他に娘(私の叔母にあたります。)がおり、叔母は存命中です。父の子は、私一人です。
現在、叔母と祖父の遺産分割協議を行っていますが、父は、生前、大学への進学資金を祖父から出してもらっていました。一方、叔母は、そのような進学資金の贈与は受けておりません。
この場合、父が受けた進学資金は、私の特別受益として持ち戻しの対象になるのでしょうか。
回答
被代襲者が被相続人から特別受益を受けた場合において、代襲相続人がかかる受益を持ち戻さなければいけないかどうかについては、争いがあり、裁判所による判断も分かれています。
例えば、受益者=被代襲者が特別の高等教育を受けたことによる得悦受益は、受益者の人格とともに消滅する一身専属的性格のものであることを理由に、受益者の死亡後、代襲相続人に対し受益の持戻義務を課することは相当でないとした審判例があります。
他方で、被相続人から被代襲者が受けた生前贈与につき、代襲者が被代襲者を通して、当該生前贈与により現実に経済的利益を受けている場合に限り、その限度で、当該生前贈与が特別受益に該当するとした審判例もあります。
従って、基本的には、自らに有利な法律の解釈を選択して話を進める必要があります。どのように進めれば良いかについては、一度ご相談ください。場合によっては弁護士が依頼を受けて協議を進めた方が良いケースもあると思います。