【遺産分割】老人ホーム入居中の相続人(依頼者)が、通常の相続分を超える内容の遺産分割協議を早期に成立させた事例

事案の概要

 Aさん(依頼者)は、判断力は十分にあるものの、年による体の衰えから、老人ホームに入居していました。
 日々の生活には不自由はありませんでしたが、お子様のいないご兄弟がお亡くなりになったため、Aさんをはじめとする兄弟姉妹が相続人になりました。
 代襲相続もあって、必ずしも普段から付き合いのある親族ばかりが相続人ではなかったこともあって、相続手続きにご不安を覚えたAさんから依頼を受けて、当事務所の弁護士が相続手続の対応にあたることになりました。

 

 なお、実際の事案はもう少し複雑で、お亡くなりになったご兄弟の配偶者の遺産の一部が未分割であったため、ご兄弟の配偶者の相続人にも連絡を取り、書類を取り付ける必要があった事案でしたが、この点は事案を簡易化するために、省略します。

 

解決までの流れ

 当事務所は依頼を受けると、被相続人の資産関係の調査を行い、遺産を確定しました。
 遺産は、不動産の他に多額の預貯金や投資信託などの金融資産がありました。まずは、これらの目録を作成した上で、他の相続人に対して、今後の老後の生活に充てたいと考えていることや、従前お亡くなりになった被相続人と親交があったのは、Aさんだけであり、被相続人の遺志としても、遺言こそないものの、基本的には、Aさんが遺産を承継することを希望するはずであることを説明しました。

 

 Aさん以外の相続人と個別に面談して状況を説明して希望を確認しましたが、一部を除く相続人は、遺産相続手続に必要な実費の負担分だけを支弁してもらえれば、Aさんが相続することに異議は無いとのことでした。
 また、今後の被相続人の供養を一番に考えている相続人もいらっしゃいましたので、それらをきちんとAさんが行うことをお約束し、実際に1周忌等の手配を当事務所で行い、供養を行いました。
 相続分を主張する相続人も、金融資産などの一部の遺産のみ相続分をいただければ十分であるとの意向でしたので、基本的には、Aさんが本来の相続分の2倍を超える相続割合で遺産を相続すること、親族関係にも波風を立てずに協議をまとめることができました。
 なお、この間の手配はすべて当事務所で行ったため、速やかに協議や手続きを行うことができました。

 

解決のポイント

1. 被相続人と生前行き来の無かった相続人に対して、事情を丁寧に説明することで、本来の相続分を超える内容で遺産分割を成立させることに理解をしていただくことができた。
2. 各相続人との連絡や協議、相続に必要な手続きをすべて当事務所が代理して行うことで、依頼から数カ月という短期間で協議を成立させることができた。

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