【遺産分割】遺言書が遺されていたケースにおいて、自宅以外の遺産ほぼ全てを依頼者が取得する内容で遺産分割を成立させた事例

事案

 被相続人は、相談者Aの父親であり、相続人は、Aと、Aの姉Bの2名でした。
 被相続人の主な遺産は、自宅不動産(評価額約3000万円)と、預貯金・株式等の金融資産(評価額約2000万円)でした。
 被相続人は遺言を遺しており、遺言書には、「自宅不動産はBに相続させる」と書かれていました。
 一方で、遺言書には、自宅不動産以外の遺産については何ら言及がありませんでした。そこで、相談者Aは、自宅不動産以外の遺産の分割または遺留分の請求を求めて、当事務所にご相談に来られました。

 

解決に至るまで

 当事務所は、遺言により自宅不動産を取得したBにはその分の「特別受益」が認められることから、遺産分割において他の預貯金・株式等の金融資産は全て相談者Aが取得すべきである、と主張しました。
 これに対し、Bは、①被相続人の医療費・介護費用等をBが立て替えているから、その半分は相続債務としてAが負担すべきであること、②Bには特別受益は認められず、仮に特別受益があるとしても「持戻し免除の意思表示」(遺産分割の際に自宅不動産の取得を特別受益として考慮しなくて良い、という被相続人の意思)が認められることを主張しました。そして、遺産総額から①の立替金を差し引いた金額の4分の1を、遺留分相当額として支払うことを提案してきました。
 当方はこれを受け入れず、①についてはBが提訴した立替金請求訴訟、②については遺産分割調停において争うことになりました。
 その結果、①については、当事務所の弁護士が立替払契約の存在や立替払いした金額を争い、最終的に、Bが請求した金額の約50%の金額での和解を成立させました。
 また、②については、Bに特別受益があること、被相続人による持戻し免除の意思表示はないことを認めさせました。そして、最終的に、自宅不動産以外の遺産のほぼ全てをAが取得する内容で、遺産分割調停を成立させることができました。
 なお、従前の判例では、預貯金等の債権については、相続により相続人間で当然に分割され、相手方の同意がない限り遺産分割の対象とはならないとされていました。そのため、本件でも、預貯金等は当然に分割され、Aは半分しか取得できない、と判断されてしまう可能性がありました(ただし、Aの取得分が遺留分に満たない場合に、Aが遺留分を請求することはできます)。しかし、最高裁平成28年12月19日決定は、預貯金債権は「相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる」ことを判示しました。このような最高裁の判断を前提とすれば、遺産である預貯金が当然に半分に分割されることはなく、本件のように、遺産分割の対象として帰属を争うことができるということになります。

 

解決のポイント

1. 弁護士を通じて、最新の判例も踏まえつつ、適切な手続選択と主張・立証活動を行ったことで、依頼者の取り分を最大限に大きくすることができたこと。

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